・・・拙ブログではお馴染みの歌舞伎観劇記録。 今回も長文で失礼いたします。・・・ 今月は、”伊勢音頭”の通し狂言がかかるというので、 それを観たさに久しぶりに歌舞伎座夜の部へ出掛けました。 このお芝居、‟油屋”という有名な場面があるので、そこだけが上演されることはあります。 でも、これまで通しで観た記憶がなかったので、珍しいことだと思っていましたら、 歌舞伎座での通し上演は、なんと昭和37年(1962年)以来とのことでした。 記憶のないのも当然のことです。 お席も、楽しく観られる(私的に)良いお席が取れました。 そして、役者が揃えばこその通し上演とも申せますが、その点でも今回は、 力のある役者さん方がずらりと並び上々吉でした。 お芝居見物というものは、何を観るかということが重要ですが、 加えて、誰(役者)で観るか、どこ(座席)で観るか、ということも、 極上のひとときを楽しむために重要なことだと思います。 今回は、その三つが揃いました、私的に。 ‟伊勢音頭恋寝刃 (いせおんどこいのねたば)” このお芝居、実際に伊勢で起きた殺傷事件を、そのわずか三日後に奈河篤助がお芝居として書き、 その後、近松徳三が手を加えて大阪角の芝居で初演されました。 明治の初め頃までは、五月狂言と決められていた代表的な夏狂言です。(最近は、作品の季節感は無視されて上演されがちです) 主役の福岡貢の役は、辛抱が俳優の一つの芸の見せ場になる「辛抱立役(しんぼうたちやく)」と呼ばれる役柄です。 今回は、松本幸四郎丈が好演。 この、辛抱する、じっと我慢する姿が美しい福岡貢も、最後には破綻にして「伊勢油屋十人斬り」という刃傷事件となるのです。 さて、それぞれの場面での感想など、個人的覚え書き。 相の山 幸四郎丈と、万次郎役の菊之助丈を中心にお話が始まります。 宿屋 一力茶屋の場(仮名手本忠臣蔵)に似た品の良さが、そこはかとなく漂う場。 女形もいないのに。 追駆け 地蔵前 密書を取り取られするコミカルな場。 役者さん方が、客席まで下りて来られて、走り回ってサービスされます。 空いている座席に座ったり、観客の方に話しかけたり。 二見ヶ浦 伊勢の二見ヶ浦で、日の出と共に紛失している名刀の行方もわかり、 縁起の良い雰囲気を醸し出すような仕立てになっています。 このあたりまで観ていると、全体的に、綺麗に整えられたお芝居だと感じました。 暗転の折々に、大道具さん方の大騒ぎされているお声が幕のうしろから聞こえるのも楽しい。 まだ明けて数日、という観劇日でしたので、これも‟ならでは”の楽しみ?なのです。 太々講 このあたりから、「このお話、こんなに面白かったの?!」という感じに。 名刀の由来が明かされて、少し不穏な風が吹き始める。 話の展開が早く、どんどん進むのが良い。 油屋 いろいろな手紙が入り乱れるのがちょっと面白い。 新悟丈、お声が可愛らしい。 雀右衛門丈のお紺と、魁春丈の万野のお二人が、 この場だけでなく、このお芝居全体をググっと締めておられる感じ。 不穏な風がどんどん吹き始めるのが感じられる。 夏狂言と呼ばれるような暑い時期の話なので、人々が使う団扇が揺れるお座敷で、 不穏な風もますます強まり、縁切り話が進む。 奥庭 人を切りたいという思いをもつ名刀のせいなのか、福岡貢は人を斬ってゆく。 伊勢音頭が華やかに踊られる中に、割って入るようにして事件が進んでいく、 まるでスローモーションのような展開。 結局、名刀も折紙も取り戻せて、御家も乗っ取られることもなくなり、めでたしめでたし。 私の観劇も大満足で、めでたしめでたしとなりました。 ところで・・・ これまでは、歌舞伎座でのお食事休憩の幕間には、調達したお弁当を客席で楽しむのも一つの楽しみでした。 でも昨今の諸事情を考えて、今回は客席での飲食は控えて、劇場内の食堂を予約するつもりでした。 ところがうっかりして予約し損ね。 当日予約可能なティールームに行ってみましたら、頂きたいメニューは完売。 それでも、お席は取れるとのことでしたので、そちらでカフェオレとアップルタルトを頂いての超軽食となりました。 もちろん、帰宅してからお夜食をとりましたことは、申すまでもございません。 #
by oomimi_usako
| 2024-03-17 06:00
| 歌舞伎やお芝居見物
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先月半ば頃に、頼んでおいた今季お初の屋久島たんかんが到着。 それは良かったのですが、5kgを注文すべきところを、3kgでお願いしてしまい、 すぐに追加注文したことは、すでにお話した通りです。 その追加分が、先日無事に到着。 今回は‟自家用”にしましたので、大きさはまちまちですが、 たっぷりあるだけで美味しそうに見えます。 これでしばらくは安心です。 毎朝食で頂くたんかんの、香り高い芳香は、 気持ちをシャキッとさせてくれています。 #
by oomimi_usako
| 2024-03-14 22:30
| あまいもの
桃の節句から、もうすでに10日が過ぎました。 立春過ぎからお出ましいただいていた我が家のお雛様方も、 先週にはもうすでに、お休みになりました。 お雛様は、飾るときより仕舞うときのほうが、 いろいろと気を遣うことが多いように思います。 日陰で風を通して涼んでいただいたあと、 お顔回りの綿や、包む薄紙を取り替えて、 お内裏さまとお雛様が、お箱の中でもそっぽを向かないように納めて、 また来年ね、とお声がけをして蓋を閉じました。 三月二日の宵節句には、今年もいつものようにお散らしを用意しました。 真鯛は、塩漬けの桜花とそのお塩を使って昆布締めに。 頂く時には、桜花を細かく刻んだものをあわせて頂きました。 お伴の御酒は、北海道函館の日本酒を。 郷宝(ごうほう) 純米大吟醸 きたしずく 磨き35% アルコール度15% (箱館醸蔵有限会社 北海道七飯町) 地元七飯町で穫れた、契約栽培米きたしずくを、全量酒米に使い、 米麹も、七飯町産のお米を使っています。 北海道の日本酒は、総じてとても優しいお味がすると思います。 この郷宝もしかり。 さらりとして、あとに静かな旨味が広がります。 桃の節句の宵節句の酒宴に、ぴったりの美味しいお味でした。 おまけ。 この宴の御箸置きに登場したのは、ピンクゴールドの鯛。 リアルさもありながら、なんだか可愛いこの子は、 横にも縦にもなる、活きの良さ(!)です。 #
by oomimi_usako
| 2024-03-12 15:00
| おうちのお食事
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