歌舞伎座 新開場柿葺落十月大歌舞伎 夜の部

f0039281_1741389.jpg

今月は、義経千本桜(竹田出雲、三好松洛、並木千柳合作、延享四年十一月竹本座初演)が、昼夜通しでかかっています。
夜の部に行きましたので、四幕目からの観劇になりました。

義経千本桜は、みんなが知っている源平最後の攻防戦や、義経静御前の物語のように見せかけることによって、お話に取り付きやすさを醸し出している狂言です。
義経から、物語は始まり(但し、歌舞伎の序幕は本当の序幕ではありませんのでご注意!)、おしまいも、義経が奥州へと下っていく(これも実は上演されたためしがない)という組み立てになっています。

しかしながらその中身は、実は、義経主役の物語ではありません。
その周囲に存在する人々に、主役のスポットライトを次々とあてながら、
親子、夫婦、主従、それぞれのつながりの、強さと脆さの両方と、さらに、
動物の親子愛まで織り交ぜて、紡いでいくスケールの大きいものがたりです。

f0039281_17421723.jpg

四幕目、木の実・小金吾討死。
いがみの権太は片岡仁左衛門丈。
お怪我療養のため、このあと11月12月のお休みが予定されていますが、舞台の上では、それとは解らぬご活躍ぶり。いろいろな方の権太をみていますが、実は私は仁左衛門丈のなさるのが一番好きです。線の細さと手足の長さが、私の持つ権太のイメージとぴったり合うんですね。

それと、小金吾には中村梅枝丈。最近お若い世代の方々が(私がトキメイテいた世代のお子さま方)が、どんどん大事なお役につくようになってきました。梅枝というと、今の時蔵さんが思い浮かんでしまいますので、若手の役者さんのお顔と名前もお勉強しないといけませんわ。その梅枝丈、好演されてますが、やはりまだまだこれからで、セリフを言うのに一生懸命という感じ。観客の心をもっともっと惹き付けるようなお芝居が、これから出来るようになってゆかれるのを、見ていくことが楽しみです。

そうそう、片岡秀太郎丈の小せん、御年を召されてもなお艶っぽくて、とても可愛らしく素敵でいらっしゃいました。


五幕目 すし屋。
この幕の設えを見るたびに、むしょうにお寿司が食べたくなります。
それゆえ、お寿司の樽に、討った首が入っているという話の流れを知っていてもなお、
すし屋が舞台にかかる時の観劇弁当は、いつだってお寿司です♪
前半は、笑いが起こる場面が続き、後半は、いつも自己中な人が、突然とんでもなく世の為・人の為ということをしたばっかりに、却って悲劇が起こります。

中村時蔵丈の、弥助&維盛二役の演じ分けが良い感じ。時蔵さんの、目と眉の間の距離が、シュッと変わるのです。

引き続き片岡仁左衛門丈がおつとめの権太は、上方バージョンと江戸バージョンがあり、もちろん今回は上方バージョン。着物や所作、鉢巻の締め方にも違いがあります。
権太が、身代わりに差し出す妻と子と別れるところから、弥左衛門の刃を受けるところまで、息もつかせぬ展開は、先がわかっているにもかかわらず、何度見ても引き込まれるところです。

若葉の内侍(わかばのないし)の東蔵丈、だいぶ以前からですが、御足が悪くていらっしゃるようですけれど、それでも舞台で奮闘されていました。

大詰 川連(かわつら)法眼館
配役は、中堅以上で固められていて、見ていて安定感のある幕です。
この幕のみどころは、なんと言っても狐忠信のケレンと早変わり。
過去の名優たちが、それぞれさまざまな工夫を重ねてきたケレンは、音羽屋風のものと猿之助風のものとに集約されて、今に至っているようです。
私は、後者の方は見ないので、実際に比べてみたことはありませんけれど。
で、狐が忠信の姿を借りた経緯を語るところあたりまでが、飽かず楽しめるところです。

忠信でも狐でも、やっぱり見るなら尾上菊五郎丈。
今回も大奮闘で、役者は体力勝負だなあとつくづく思います。
御歳が御歳ゆえ見ているほうがハラハラしてしまうので、そろそろ菊之助丈になさっていただきたいなあなどと、思ったり。

それから、いつ見てもかわゆらしい静御前役の中村時蔵丈。いまより更にお歳を重ねられても、可愛い赤姫さまをずっと演じていただきたいものです。

f0039281_17493319.jpg

ということで・・・
新開場直後の、あれもこれもの玉手箱のような演目揃いも良いですが、
やはり通し狂言をじっくり見るのも楽しいもので、
久しぶりに、お芝居見物らしい見物が出来て嬉しい一夜でした。

11月12月は、仮名手本忠臣蔵の通し。
通しと言っていますが、あいだ抜けしていますので、本当の通しではありません。
一日かけて昼夜を通してみる暇と、体力と、我慢強さがなくなってきた最近の私には、
11月には、おひる~。
12月には、よる~。
と、緩慢に、ゆるゆる楽しめる構成ではありますが・・・。
せっかくそういうことができるなら、
年末になると、“どれだけ好きなの?と思う位、あっちでもこっちでも討ち入っている忠臣蔵”より、桜姫や、妹背山や、今月の千本桜なんぞを、“正しい通し狂言”で、是非掛けて欲しいもの、と思う今日この頃です。(だから12月は見ないかも)
f0039281_17512268.jpg



ついつい歌舞伎だと、長文になってしまうのですよね。
申し訳ございません。
でも、最後までお目を通してくださってありがとうございました。
本日も、お立ち寄りくださいましたおしるしに、
クリックおひとつ、お願いいたします。
にほんブログ村 ライフスタイルブログ 暮らしを楽しむへ
にほんブログ村
[PR]
by oomimi_usako | 2013-10-23 17:36 | 歌舞伎やお芝居見物 | Trackback | Comments(6)
トラックバックURL : http://ksweetk.exblog.jp/tb/20663846
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by june_h at 2013-10-23 19:35
「義経は主役だが狂言回しなので、あまり頻繁には登場しない」のだと、小山観翁さんの本に書いてありました。
せっかく2か月続けて忠臣蔵をするなら、本当の「通し」にすればよいのに・・・・・とは、私も同じことを思っていました。せっかくの機会なのに、なんだかもったいないですね。
以前、平成中村座で、2段目なども含めて通しをしていましたっけ。
Commented by 2005-1127 at 2013-10-24 06:12
おはようございます♫

USAKOさんは、「芸術の秋」なんですね^^
満喫されてる様子が伝わってきます~
Commented by suzu-kinako at 2013-10-24 17:51
私に人形焼ないの?
Commented by oomimi_usako at 2013-10-25 15:22
☆juneさま、研究者解説者の見方は、おしなべて“義経は主役だが狂言回し”となっていて、私もそう思います。
あんまり出てこないけれど、でも義経がいないと成り立たないお話なのですよね。
主題も含めてそれを決定付けると思われる義経の大事なセリフが、ほんとーの序段にあるのです!
序幕 鳥居前となっていますが、その前があるので、是非是非そこのところからやって欲しいと思っています。

忠臣蔵も、juneさまおっしゃるとおり二段目欲しいですよね。
私は、九段目も好きなので、入れて欲しいなあと思います。
中村座で通し上演していたのですね。
それは、とても大事なことだと思います。
だいぶ前になりますが、歌舞伎座でも通しがあって、若い頃だったので、がんばって一日掛けて見ました。
あらすじが良く解るのはもちろん、登場人物の心の動きや、全体に流れる雰囲気なども理解できて、とても良かったとおもったのを覚えています。
Commented by oomimi_usako at 2013-10-25 15:24
☆モンスーンさま、芸術も、食欲も、フル回転です!
スポーツはちょっと抜けています。。。
Commented by oomimi_usako at 2013-10-25 15:25
☆きなこの母さま、
あっ!しまった!!
たべちゃった!!!
名前
URL
画像認証
削除用パスワード


日々のあれこれと、美味しいものの記憶。


by oomimi_usako

プロフィールを見る

最新の記事

南麻布 ルコント広尾本店の綺..
at 2017-10-09 22:38
9月30日 お誕生月恒例、毎..
at 2017-09-30 23:44
9月29日 今年もこの日が。
at 2017-09-29 22:29
9月28日 神田みますや
at 2017-09-28 23:28
9月27日 田園調布 パティ..
at 2017-09-27 23:00

カテゴリ

あまいもの
おうちのお食事
おうちの調味料
おそとでお食事
おそとでお酒
usakoのお教室
歌舞伎やお芝居見物
旅とおでかけ
日々の生活
読書
音楽
展覧会
手芸(刺繍など)
お気に入りの品々
草花
どうぶつ
わたくしごと

タグ

(199)
(189)
(118)
(95)
(86)
(64)
(49)
(43)
(40)
(36)
(36)
(32)
(31)
(31)
(26)
(24)
(22)
(22)
(20)
(20)

白鹿辰馬本家酒造
酒粕の美味しいムース!
usakoのレシピはこちらでご紹介中です。


日本酒造組合中央会
楽しい日本酒ライフのためにお世話になっています。

K's Sweets Kitchen 伝言板お菓子教室に関するご連絡事項はこちらをご覧ください。

★記事との関連が読み取りかねるコメントとTBにつきましては、当方にて削除させていただく場合があります。
あしからずご了承ください。
Copyright(C) 2006-2017 K's Sweets Kitchen All Right Reserved

検索

ブログパーツ