歌舞伎座 11月吉例顔見世大歌舞伎 夜の部

今年は、白鷗丈の三十三回忌にあたるそうです。
最晩年を拝見しましたが、舞台にご登場されるだけで、重厚さを漂わせることのできる方でした。
今月は夜の部を観劇。
いつものように、長い長い観劇記録です、平にご容赦。

一幕目は、鶴屋南北作の御存鈴ヶ森。

おうむ石のひとつ、
“待てと、おとどめなされしは、拙者がことでござるかな”
という、幡隋長兵衛と白井権八との掛け合いにあるフレーズは、
日本人ならどなたでも、きっとどこかでお耳にされている有名なものです。
これは、初代桜田治助の作である、幡隋長兵衛精進俎板(ばんずいちょうべえしょうじんまないた)のうちの鈴ヶ森の場面の台詞です。

今回は、四世鶴屋南北作の浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなずま)というお芝居の中にある、同じ鈴ヶ森での長兵衛と権八の出会う場面を、ひと幕だけ上演。

同じ場面が、違うお芝居に出てくるというのは、歌舞伎では時々あって、
微妙な違いが面白かったりいたしまして…。
先にご紹介したおうむ石は、幡随長兵衛精進俎板のほうで、
今回は、ちょっと違っていて、
“待てとおとどめなされしは、手前がことでござるよな”…と、こうなっています。

松緑丈と菊之助丈、お若い方が見せ場をしっかり見せてくれましたねぇ~と感心しましたが、
このお二人、すでに若手ではなく、中堅なんですね。
こんなところでも、歳月の流れの早さを感じたひと幕でした。
松緑丈は、もう少しセリフの切れが良いと、もっと気持ちよく見られそうです。
f0039281_21453552.jpg

二幕目は、勧進帳。

もう今回で、何度目の観劇になりますやら。
でもこの配役では、初めての拝見となります。
弁慶は、市川染五郎丈。
義経が、中村吉右衛門丈。
そして富樫が、松本幸四郎丈。
ちょっと面白いですよね、弁慶と義経が逆なんじゃないかと思うようでしたが、
たまにはこのような思いがけないなさり方も、楽しみが増すのではと思っていました。

何度見ても、楽しめるポイントがいくつもある勧進帳。
今回は、染五郎弁慶のハリのある良く通るお声(聞けば聞くほどお父様叔父様とよく似ているのですが)が良く、
また、幸四郎富樫とのさすが父子ならではのハーモニーにも感心し、
そして、いくら折檻されてもビクともしなさそうな力強い吉右衛門義経の姿に、
“こういう形で主従関係を感じさせるのもありかもしれない”などと妙な納得の仕方をしながら、
幕引きの見事な飛び六法を眺めたのでした。

今月の勧進帳は、おすすめです。
それはどなたもお感じになったようで、
珍しく、染五郎弁慶が揚幕に飛び入ってから10秒位、客席からの拍手が続き、
このままアンコールになったらどうしましょう?と、ドキドキしてしまいました。
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三幕目は、義経千本桜から、すし屋の一幕。
こちらもまた、今までいったい何度見たのかと思うほどですが、
見れば必ず、柿の葉寿司が食べたくなる…そういうお芝居です。

中村時蔵丈、尾上菊五郎丈、市川左団次丈、松本幸四郎丈…と、
大御所がずらり勢ぞろいして、安心して見て居られるひと幕でした。
権太の告白の場面が、ちょっと間延びしたように思いましたが、
なぜそう感じたかが、いまのところわかりません。
もう一回見るとわかるかしら?

お芝居は総じて良かったのですが、実は、ご覧のお客様方も、面白かった!
すし桶に、お金や人の首が次々と隠されていくところでは、
“あ~っ”とか“おぉっ”とか小さなお声があちらこちらから漏れ聞こえます。
割とポピュラーなこの仕掛けを知っている人は多いので、
いちいち驚く人も少なかったはずの場面ですが、
きっとこの日は、はじめてのお客様が多かったのかもしれません。
それだけ、歌舞伎をご覧になる方々が増えてきたということかもしれず、
良きこと良きこと…と、ひとり嬉しくなりました。
願わくは…
“すし屋”の段が、すし桶取り違えの喜劇だと、思わないでねっ!


歌舞伎話は、ついつい長くなってしまいます。
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by oomimi_usako | 2014-11-16 21:41 | 歌舞伎やお芝居見物 | Trackback | Comments(2)
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Commented by ぷう at 2014-11-18 11:38 x
お待ちしておりました、うさこさんワールド!
歌舞伎はたまにしか見に行きませんが、
わかったようなわからないような…ということもよくあります。
うさこさんが耳元で解説してくださると、
もっと楽しめそう!
歌舞伎座グルメもあわせて解説してくださ~い。
Commented by oomimi_usako at 2014-11-18 22:23
☆ぷうさま、
歌舞伎話は、ついつい力が入ってしまいます。
しかしながら…ご説明のほうは、美味しいもの系のほうに
うんと力が入ってしまいそうです~♪
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