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渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで、風景画の成り立ちを学ぶ

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の美術展を観に行きました。
〝風景画の誕生”というタイトルが付いた今回の展示。
どのような経緯を辿って、現在、風景画といっているジャンルが出来上がってきたのかを、観て学ぶことが出来ます。
テーマに添って、時系列に並んでいるのは、ウィーン美術史美術館の所蔵品から選ばれた絵画です。
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16世紀初め頃、キリスト教や神話の世界と結びついた絵画の中に、風景が描かれ始めます。
デューラーに、初めの風景画家と呼ばれているのはヨアヒム・パティニール。
1515年頃に、その画家によって描かれた〝聖カタリナの車輪の奇跡”という絵画は、近景や遠景、自然の山や海、都市部の建物、人々の姿に加えて天使も飛んで、なんだか盛り沢山の絵画ですが、でもそこには、当時の人々の暮らしが見て取れるものが書き込まれていて、風景画としての次の展開への伏線が感じられます。

その後、風景画は、月暦画(日本でいう歳時記を絵にしたようなもの)や、
農牧民の生活を主題にした中に、景色として描かれる時代を経て、やがて風景そのものが題材となり、自然やヴェドゥータと呼ばれる都市の景観を、描くものとなりました。

印象に残ったものが、いくつかありました。

まずは、前述のヨアヒム・パティニールの絵画。

それから、著名な画家ヤーコブ・ファン・ロイスダールの、〝渓流のある風景”。
これは、北欧の風景を描いたもので、なるほどそういえばこんな感じねと思えるのです。
でも実際には、ロイスダールは北欧には行っておらず、旅をした人から聞いた内容を描いたとか。
ロイスダールの才能もさることながら、私は、その旅行体験を言葉で伝えた人の才能も、素晴らしかったのではないかと思ってしまうのでした。

アダム・ペイナーケルの〝ディヴォリ付近の風景”。
こちらも空想画で、古代遺跡の風景を描いています。
お天気の良い昼下がり(=これは私の空想)、町のはずれの古代遺跡には人影もなく、〝シーンという音”のするような風景が印象的です。

それからそれから、〝月明かりの下の船のある川の風景”という絵を1665~1670年頃に描いた、アールト・ファン・デル・ネールという画家。
風景画だけでは生活してゆけなかったので、居酒屋さんを営んでいたとかいう、これは絵よりもそのエピソードがなんだかとても今様で、印象に残りました。
渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで、風景画の成り立ちを学ぶ_f0039281_2391470.jpg

観ていくにあたっては、音声ガイドを借りました。
Bunkamuraザ・ミュージアムの音声ガイドは、俳優さんをナビゲーターに使っていて、ナレーションも聞きやすくて面白いので、こちらで鑑賞する時には大抵、ガイドのお世話になることにしています。

今回のナビゲーターは、榎木孝明氏。
・・・この方の〝お顔立ち”結構好きです、私事ですが。
館内では、絵画の脇に説明書きの掲示されているものももちろんありますが、
そこには書かれていない、さらに興味深いお話が、物静かで落ち着いた榎木氏の語り口で拝聴出来たことも、鑑賞を楽しくしてくれました。

会期は2015年12月7日まで。
そのあと、来年にかけて、静岡県立美術館石橋美術館(久留米市)へと回るようです。

usako補足>会場内ミュージアムショップでは、美術史美術館のあるウィーンにちなんで、
ウイーン菓子店ノイエスの野澤氏のオリジナルクッキー(缶入り)が販売されています。
期間限定で、ここと、赤坂のノイエスだけで手に入るそうです。
どちらかといえば花よりお団子という方は、そちらをメインにお出かけになっても良いかもしれません。



今回は美味しいもののお話ではありませんでしたが、
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どうもありがとうございます。
by oomimi_usako | 2015-10-24 22:51 | 展覧会 | Comments(4)
Commented by kumama47 at 2015-10-25 20:41
「風景画の成り立ち」面白い切り口の展覧会です。
今では当たり前の風景画も、歴史の移り変わりと共に確立されてきたのですね。

そう言えば古い絵画は、神話の世界を描いた物や宗教画ばかり。
一般人を描いた人物画や風景画は後から生まれたのですね。興味深い!

美術館大好きです。
名古屋に比べて、東京は沢山の美術展がやって来るので羨ましいです。
また、ご紹介下さい!
Commented by marucox0326 at 2015-10-26 11:06
こんにちわ。

ああ~とっても行きたいです。
だってウィーン美術史美術館は
私の中で行ってみたい外国の美術館ベスト1なのですから。
ここは建物も素晴らしく壮麗で美しく
何より、大好きなフランドルの画家
P・ブリューゲルの作品が沢山あるのです。

ご紹介のアールト・ファン・デル・ネールも
好きな画家です。
やはりオランダ・ベルギーあたりの絵画は
牧歌的だったり、対照的に陰鬱な抒情性とでもいうか
とても魅かれるものがあります。

榎木孝明さんはご自身も絵がお上手ですものね。
そして知的でノーブルな方がお好きなんですね。
お好みの男性のイメージだんだんとわかってきましたよ~^^
Commented by oomimi_usako at 2015-10-26 22:44 x
☆kumamaさま、
美術館でゆっくりじっくり鑑賞するのは、楽しいですよね。
kumamaさまもお好きなことと伺えて、嬉しいです♪
首都圏は美術展には恵まれていると思いますが、それだけご覧に来られる方もとても多いので、たいていどこも混んでいますけれど~。
また観てきましたら、ご報告いたしますね!


Commented by oomimi_usako at 2015-10-26 22:53 x
☆marucoxさま、
ウィーン美術史美術館の収蔵品の日本での企画展は、大抵出掛けてみるのですが、やはり本家本元には私も行ってみたいと思っています。
何しろ20年かけて予算制限なしで作られた美の館…などと、聞いては、器(?)も観てみないわけには行きませんし、もちろんあのハプスブルク家のコレクションである中身も、是非見たいですもの♪

知的でノーブル!
うふふ、そうかもしれません。
良い好みでしょ?(^^)v
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