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新編日本の面影 ラフカディオハーン著・池田雅之訳

名著“日本の面影”は、どなたも一度はお読みになったことがあると思います。
ラフカディオハーン、日本名小泉八雲が、日本の地で見聞きしたこと感じたことを綴った“知られぬ日本の面影”の翻訳版で、以前から広く読まれてきたものです。
私も小学生か中学生の頃に、小泉八雲の著書を翻訳で何篇も読みました。
英語の教科書に載っているものもあって、そちらはちゃんと英文でも読みましたけれど、印象に残ったのは別編“日本の怪談”のほうで、“日本の面影”は、長く記憶の外に置かれていました。

この夏、NHKの番組“100分de名著”で“日本の面影”がテキストとして選ばれ、池田雅之さんという方が、新訳を出されていらしたことを知りました。

翻訳本というのは、訳者の技量で、仕上がりは如何ようにも変わるもの。
その新訳というところに惹かれ、また私自身が、別の訳で読んでからずいぶん時を経たと感じたこともあって、久し振りにまた、読んでみることにしました。
新編日本の面影 ラフカディオハーン著・池田雅之訳_f0039281_14234859.jpg

新編日本の面影 ラフカディオハーン 池田雅之氏訳(角川ソフィア文庫)
および、
新編日本の面影Ⅱ 同上。

明治三十年代頃からの、日本の、自然や人や習慣の美しさを深く愛したラフカディオハーンの気持ちが、しみじみと伝わってきます。
言葉を尽くして伝えられる紀行の記録は、感動的と言っても良いくらいに適切で美しく、その地へ行ってみたい、と心が躍ります。
描かれているのは、たかだか120年ほどの歳月しか経っていない、過去の優しい日本の姿。
しかしそれは、私たちがもう完全に置き忘れてきてしまったものなのではないでしょうか、残念ながら。

主に描かれるのは、小泉八雲として暮らした島根県松江市界隈のこと。
それ以外にも、彼の訪れた鎌倉江の島詣でのお話。
英語教師としての話に、もちろんお得意(?)の幽霊とお化けのお話をちょっと。
そして、夫人である小泉セツ氏の手による“思い出の記”も加えられています。

訳者池田氏は、ダイナミックトランスレーションという翻訳法をとられたそうです。
「あくまでハーンの文学世界を現代の日本の読者にどのように届けるか」(Ⅱ訳者あとがきより抜粋)に、注力されたとのこと。
よみがえったラフカディオハーンの世界に、もう一度ひたれる御本でした。



by oomimi_usako | 2015-10-30 14:21 | 読書 | Comments(2)
Commented by wilmslow at 2015-10-31 12:29
usakoさん、こんばんは。
usakoさんの本の解説は、どうしてこうも素晴らしいのでしょう!読みたい本が、また増えてしまいました。😊
ハーンの本は、遥か昔に読んだきりでしたが、新訳本が出たのですね。
Commented by oomimi_usako at 2015-11-02 09:27 x
☆wilmslowさま、
嬉しいメッセージをいただきまして、ありがとうございます。
この翻訳は、言葉の選び方が良いのでしょうか・・・一文一文を大事に読んでいきたいと思わせてくれました。
wilmslowさまなら、原文でお読みになって、比較も出来るのでは?きっと、私の何倍もの発見をされながら、楽しむことも出来るのではないかと思います!!
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