9月6日 九月の歌舞伎座は、秀山祭。

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秀山というのは、初代中村吉右衛門の俳名です。
亡くなったのは、昭和29年なので、もちろん私は舞台を拝見したことがありませんが、
是非見てみたかったと思う役者さんのうちのひとりです。
当たり役も多く、歌舞伎界に残した功績は、役者・指導者・制作者…様々な面で、数多く今に伝わります。
秀山祭は、2006年9月に生誕120年を記念して、行われたのが初めです。
以来毎年9月、現吉右衛門さんはじめ、ゆかりあるお家の役者さん方が、見ごたえあるお芝居で長月の舞台見物を楽しませてくれています。

現在の中村吉右衛門さんは、母方の祖父であったこの初代の養子になり、二代目となりました。
なので、お兄さんである松本幸四郎さんとは、名字が違うわけですね。
ちなみに、初代中村吉右衛門の弟にあたるのが、先代中村勘三郎さん。
今の中村勘九郎さんのお父様ではなくて、おじいちゃまのほうです。
歌舞伎界は、養子縁組などが盛んにおこなわれていますので、あっちもこっちも親戚みたいなものです。

さて、その秀山祭、今年は、夜の部を選びました。
久し振りに、“妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)”の“吉野川(山の段)”が見られるのと、
これまた久し振りに玉三郎さまの綺麗なお姿がたくさん見られるという理由での選択です。

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まずひと幕目は、いきなり2時間がかりで“吉野川”。
近松半二や三好松洛らの合作の“妹背山婦女庭訓”という五段十二場の人形浄瑠璃の大作は、すぐ歌舞伎でも上演されるようになりました。

舞台中央に吉野川を作り、瀧車という昔からのやり方で、水が流れているように見せる舞台装置を配置します。
川は流れて客席に注ぎますので、客席は吉野川。
お客様は、さながら川面の泡ぶくという感じでしょうか。(私は二階桟敷より川面を見下ろしておりました)
川をはさんで、上手が紀伊国、下手が大和国という設定ゆえ、花道も上手下手両方に設置して、舞台も客席もひっくるめて
大きな空間でお芝居が進行します。

菊之助丈のお姫様姿の可愛いこと。
すっとするような美しさです。
彼女の恋のお相手が、染五郎丈で、これまたススーッとするような美しい若殿さまぶり。
腰元役の梅枝、萬太郎丈もかわゆらしくて、みていて楽しくなってしまいます。
14年ぶりの大判事役の吉右衛門丈、初代松本白鸚すなわち実父の型で今回は演じられたそうです。
そして、玉さまは、美しさに母の強さが加わって、鬼気迫るお姿も拝見出来ました。
こういうお役でも、魅力を存分に発揮されていることが、年齢の重なりを感じさせ、とても印象に残りました。

本花道、仮花道にそれぞれ立っての、吉右衛門丈、玉三郎さまの掛け合いは、仲の悪いお家同士のいがみ合い。
でも、やがて解きほどかれて変化していくところが、二人の大役者の腕の見せ所なのです。
舞台に渡ってからは、吉右衛門丈扮する、息子を切腹させなければならない父と、
玉三郎さま扮する娘の首を切らねばならない母のそれぞれの気持ちを、吉野川をはさんで交互に見せていきますが、
私としては、後者母娘のやり取りの方に、より心に訴えるものがありました。
お芝居の中では、息子と娘はどこまでも儚げで、また父と母はどこまでも厳しく、しかし心優しくなければなりません。
今回は、今ならではの役者を揃えて、今だからこその見ごたえのある、幕になったと思いました。

いま、この時、このお芝居を観られて良かったとおもうことは、なかなか多くはないのですが、
良いものを見せて貰ったと思えるひと幕でした。

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ふた幕目は、らくだ、というお芝居。
実は、こちらも先月見た新作芝居同様に、落語から歌舞伎に脚本化されたお芝居です。
昭和三年三月本郷座初演で、ベースは三代目柳家小さんの「らくだ」。
ちなみに、作者岡鬼太郎氏は、洋画家岡鹿之助氏のお父さまです。
松緑丈は、世話物をするのには姿は良いのですが、台詞の抑揚のつけ方にちょっと癖があって、聞きづらいのがいつも気になります。
歌六さん、お役の雰囲気が珍しい感じで、面白かった。
だんだん酔っぱらっていく染五郎丈がウマイ!
先月の新作よりもより、ドタバタして面白くさせるという感じなので、笑て笑っておしまいになります。
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三幕目は、元禄花見踊。
これは、玉三郎さまを中心に、若手勢ぞろいの舞踊です。
元禄時代のお花見の様子を、もうただただ綺麗に華やかに表した、まるで宝塚レビューのようなひと幕でした。
私は、若手の皆様のお顔暗記(?)にその時間を費やしてしまい、肝心の玉さまの踊りに五割ほどしか集中できなかったのが、
少々残念でありました。

今回も、長文、最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました!



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by oomimi_usako | 2016-09-06 22:24 | 歌舞伎やお芝居見物 | Trackback | Comments(0)
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