今月は、昼の部に出掛けました。
三年ぶりの再演叶った、幸四郎丈の不知火検校を観たかったので。 その前に、まず一幕目。 舞踊の松寿操り三番叟(まつのことぶきあやつりさんばそう)。 尾上松也くんが後見役で、あやつり人形の染五郎丈を糸で操り、 三番叟を躍らせます。 もちろん操り人形であるからには、糸を操られて動くように 踊らなくてはなりません。 後見とのタイミングの取り方も難しいはずですが、 気持ちよい程絶妙なコンビネーション。 途中、絡んだ糸を直す振りまであってそれがまた面白く、 あっという間のひと幕でした。 染五郎丈の人形振りは、まだうら若き美少年(?)の頃になさった“京人形”というお芝居が、とても印象に残っていますが、アクロバティックともいえるこの三番叟では、壮年期の染五郎丈の演技がとても印象に残りました。 二幕目が、今回のメイン、不知火検校(しらぬいけんぎょう)。 このお芝居は、三年ぶりの上演。 もともとは、宇野信夫氏が昭和35年に十七代目中村勘三郎のために書き下ろしたものです。 親の間違い(殺人)の因果応報か、生まれた時から盲目の富之助という青年が、数々の悪事を働きながら、富と力を手に入れていくのですが、やがてその悪事が露見して、お縄にかかるという話。 暗転で降りてくる幕も、おどろおどろしい不知火が書かれているという怖い演出がしてあります。 人間の悪の心が、次々と舞台の上で展開していき、次から次へと良くこんな悪いことが考え出せるものだとあきれるほどです。 このお芝居は、歌舞伎のように見えますが、実は、歌舞伎というより現代劇に近いものではないかと感じました。 悪の華が咲くほどに展開する歌舞伎芝居が、鶴屋南北や河竹黙阿弥らによって書かれ、今日に至るまで観客を魅了してきました。 不思議なことに、それらのお芝居のエンディングには、 救いがあるように思います。 主人公に訪れる結末がたとえ最悪のものであったとしても、引かれていく幕に拍手をしながら、なにか清々しいものを感じられるのです。 ところが、この作品には、それがありません。 徹底的に打ちのめされた悪だけが残り、後味の悪いことこの上なく、“只今、20分の幕あいです…”という劇場内のアナウンスがいつも通りに流れても、なんだかスッキリしない、そういうお芝居なのでした。 まあ、それがこの作品の良さでもあるのですけれどね。 幸四郎丈さすがの迫力。 このお芝居では、若手の皆様が多数ご活躍でした。 というわけで、三幕目は、思いっきり御口直し。 身替座禅で、面白おかしく締めくくります。 たぶん今の役者さんの中では、この組み合わせがいちばん面白いのではないかと思われる、仁左衛門丈の右京に、左団次丈の奥方玉の井。 気分もすっきり元に戻り、そして今月も足取り軽く、歌舞伎座をあとにしたのでした。 usakoのおやつ>今回も、お気に入りの席での観劇。 そして、幕間のおやつはこちら。 以前にも箱買いしたときに、ご紹介したことがありますが、 熊本名物黒糖ドーナツ棒。 地元では有名なフジバンビ社製の、歌舞伎座限定仕様のドーナツ棒です。 第24回全国菓子大博覧会九州in熊本では、リッチモンドクラブ賞を、 また、第25回全国菓子大博覧会では、名誉総裁賞を、 それぞれ受賞したそうですが、納得のとても美味しいお菓子です。 軽食の売店にありますので、ご自身のおやつに、 あるいは、ちょっとした歌舞伎土産に、是非どうぞ。 ‐
by oomimi_usako
| 2016-04-22 22:28
| 歌舞伎やお芝居見物
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