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2006年10月 芸術祭十月大歌舞伎夜の部

今月の歌舞伎座では、夜の部を観劇しました。
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一幕目は『仮名手本忠臣蔵』の五段目、六段目。
お馴染みの場面です。
御紋服の色が、お顔に映えて綺麗な仁左衛門丈は勘平役。
この方の線の細さは、窮地に陥る二枚目役にピッタリだと、いつも思います。
菊之助丈は、久しぶりに私のイメージする若奥様お軽にハマって良し。(→七段目は玉様ね!)
また、ビジュアル的に楽しめる海老蔵丈の定九郎もこれまた良し・・・で、安心して楽しめる五段目六段目でした。

二幕目は、季節外れながら『髪結新三(かみゆいしんざ)』の序幕から大詰めまでです。
これは、黙阿弥作のお芝居で、本当のお題は『梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)』といいます。
この話のような世話物(せわもの)と呼ばれるのお芝居には、江戸の人々の生活習慣が当時に近い形で残されているものもあるので、観ていて楽しいものです。
今回も、髪結さんが手代さんの髪を直す場面、当時の結納の品を届ける様子、永代橋の遠見の景色、目の前で買った鰹を二枚におろす鰹売り、柳の下のおそば屋さん・・・などなど、とても興味深い風景がたくさんありました。
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そういうものを観るために歌舞伎を観る、というのもまた、オツなものではないかと、思います。
ちなみに、注意深く台詞を聞いていると、正しい敬語の使い方も学べます。
新しい演出も良いですが、伝えられたものをそのまま将来に伝えていくという努力も、梨園の方々にはしていただきたいと願っています。
配役では、家主長兵衛役の弥十郎さん、いい味が出ています。
勘三郎丈で見慣れた新三を、今回は幸四郎丈が初役で好演されていました。
この方、何をなさっても上手いですねえ・・・。

usakoの蛇足>
鰹を肴に、一杯やっていた新三のところに長兵衛が訪ねてきて、一緒に一献傾ける場面があります。
長兵衛『旨い酒だねえ、これは何だい?』
新三『・・・剣菱(けんびし)。』
わたくし、思わず客席で『まあっ』とつぶやいてしまいました・・・素敵な台詞も、上手い上手い!
by oomimi_usako | 2006-10-24 23:59 | 歌舞伎やお芝居見物 | Comments(4)
Commented by gari at 2006-10-25 11:22 x
いつもお芝居レポート、楽しみにして見てます♪
今回も・・・なんだか、行きたくなっちゃったなぁ・・・

海老蔵さんは、定九郎で凄みのある悪役なんですよね?
「凄み」まで出るかなぁと思っちゃってたんですが、如何でした?

お酒のアドリブ等、こういう余裕のある軽い笑いがまた、歌舞伎の良さですよね(^^)

来月もまた、お待ちしてます。
Commented by oomimi_usako at 2006-10-25 21:28
☆gari様、主観に満ち満ちたレポートなのですが、お読みいただきまして感謝しております。明日が楽日です。お急ぎください。海老蔵さんは撃たれた後に凄みでなく凄惨さが出ています。
Commented by soleil at 2006-10-26 00:40 x
今月の一番のミドコロは、定九郎だぁ!と思っていました(笑)
・・・が、実は、今月は足を運んでません。
幸四郎さんの新三は、ニン違いじゃないか?と心配だったんですが、
良かったんですね・・・ほっとしました。
ベテラン役者に対するコメントとしては、不謹慎ですかね?

来月は新橋演舞場が、良さそうだと思っているのですが・・・
usako様のお考えは如何に?
Commented by oomimi_usako at 2006-10-26 10:31
☆soleil様こんにちは。実は私、幸四郎新三観たさに行きました。見慣れぬ新三が実は良かったりするのだなあと実感。来月私はクリスマス準備に大忙しになりそうなので今のところ観劇予定を入れてません。でも観るなら歌舞伎座昼の先代萩通しかな?って思ってました。そうですね演舞場も良さそう。目で見て嬉しい綺麗な方々が揃いますね。私なら昼の部かしら?弁天小僧菊之助がメイン。でも稲瀬川の場面はちょっとどぉかしらねぇ。勧進帳では海老様がお品のある弁慶をしてくれることを願います。夜の部船弁慶の團蔵さんの弁慶“姿”も結構良いと思うので、頑張らないとねっと思いますよ。ご覧になったら是非感想を聞かせてくださいネ☆
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